今月16日投開票の新潟県知事選挙で初当選した米山隆一氏(共産・社民・自由推薦)が、“手かざし”治療で高額な費用を取り、多くの被害者を出した宗教団体「宝珠宗宝珠会」(前身=「泰道」)が起こしたスラップ(SLAPP)訴訟の代理人を務めていたことが分かった。
スラップとは、国や大企業、団体など立場の強い側が、批判者を叩く目的で提起される訴訟のこと。米山氏は、違法行為を繰り返してきた反社会的な団体の側に立って、地元を守ろうとしていた市民を苦しめていたことになる。
弱者いじめの代理人
米山氏が宝珠会側の代理人を務めていたのは、2013年頃に熊本県西原村で土地買収に乗り出していた宝珠会が、同団体と同団体の土地買収に協力した元村議を糾弾するビラを配布した女性に、名誉棄損だとして計600万円の損害賠償を求めた裁判。西原村の危機を救おうとした女性に高額な賠償金を吹っかけ、宝珠会の問題から手を引かせるのが狙いだったと見られている。同年に始まった裁判は14年9月に結審し、11月に宝珠会側の請求を退ける判決が下されていた。(下が判決文。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
宝珠宗宝珠会の前身は、科学的根拠のない“手かざし”や“ハンドパワー”による治療で病気を治すなどとして、高額な費用を徴収する手口で多数の被害者を生んだ「健康を守る会・泰道」(本部:佐賀県。1997年解散。以下「泰道」) 。1986年に佐賀市で設立された泰道が、最盛期2万人とも言われた会員から一人140万円の費用を集めていたことで社会問題化。「騙された」とする佐賀、長崎、福岡などの被害者約100人が損害賠償を求めて起こした集団訴訟で敗訴し、約1億5,000万円の支払いを命じらている。裁判の過程で泰道は、宗教法人「宝珠宗宝珠会」と名前を変え活動を継続。分派した福岡の「アースハート」(現・セントマザー)も巨額脱税事件を起こし、宝珠会同様に被害者集団訴訟で敗訴している。
脱原発派の本当の顔は?
手かざし団体の代理人だった米山氏が新潟県知事選で公約に掲げたのは、東電・柏崎刈羽原発の再稼働反対。福島第1原発事故の原因究明がなされない限り、再稼働の議論はできないとするものだ。しかし、知事選出馬以前の米山氏は原発再稼働推進論者。出馬会見で「私が間違っていた」と方向転換したものの、いきなりの変節に「反原発票目当て」との批判も出ていた。新潟で県民の命を守ると宣言した米山氏が、九州熊本では弱者いじめ。医師、弁護士、政治家といくつもの顔を持つ米山氏には、“裏の顔”もある。
新潟で米山氏、鹿児島では三反園訓氏。東西の原発立地県に誕生した「原発慎重派」の知事だが、三反園氏の反原発が票目当てだったことは明らかで、県民の間から同氏の資質を問う声が上がる状況。米山知事の反原発が、本物であることを祈りたい。