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文春、小池、橋下、高須 ― 都知事選「鳥越バッシング」の酷さ

2016年7月27日 09:00

20160719_h01-02.jpg 東京都知事選挙に立候補している鳥越俊太郎氏へのバッシングが止まない。週刊文春の与太記事に加え、知事候補の小池百合子氏、元大阪市長の橋下徹氏、医師の高須克也氏などの“右寄り改憲論者”がそろって鳥越叩き。「ニュースの職人」はサンドバック状態だ。
 問題は、鳥越氏の政策ではなく人格や健康を否定するという汚いやり方。選挙妨害としか思えないこの連中の情報発信は、度を越えてはいないか?

政策論争とは無縁の鳥越氏攻撃
 鳥越氏に対する攻撃の口火を切ったのは小池氏。今月17日に都内秋葉原で行った街頭演説で、鳥越氏を『政策も何もない人、病み上がりの人』と表現。4回のがん手術を経験した鳥越氏を、まるで役立たずの病者であるかのようにけなしていた。

 次いで21日発売の「週刊文春」。同誌が取り上げた鳥越俊太郎氏の女性スキャンダルは、なんと14年前の出来事。当時20歳の女子大生に対する淫行疑惑だったが、裏付けに最低限必要な被害を受けたという女性本人肉声は皆無。夫と称する男性の一方的な「告発」を垂れ流し、実名なしの「関係者の話」で補強した酷い内容だった。悪質な選挙妨害と言わざるを得ない。

 その文春報道に真っ先に飛びついたのが橋下氏。同誌発売当日の21日から、自身のツイッターで次々と鳥越批判を展開。≪政治家に対しては差別報道・人格攻撃を除いて、とことん報道するのが民主主義。鳥越さん、訴える前に、いつも政治家に言っていた説明責任を果たしなさい≫に始まって、この日だけで10回以上に及んでいた。以後もツイートに応える形などで文春報道に乗っかった鳥越批判を続けていたが、24日には政策にケチをつける格好で鳥越氏を病人扱いしていた。鳥越氏が伊豆大島での演説で「島しょ部は消費税を5%にするべき」と話したことに対し、次のように記している。

橋下.png

 鳥越氏は“自分が5%にする”と言ったわけではない。しかし、橋下氏は≪こんな演説を許していたらもう選挙は成り立たない≫。候補者の持論がどう≪選挙は成り立たない≫につながるのか分からないが、狙いは別にあったと見るべきだ。キーワードは≪ドクターストップ≫という言葉。橋下氏は、政策に噛みついた格好をとりながら、巧妙に鳥越氏を病人に仕立てていた。市長時代に鳥越氏から批判を受けたことが忘れられないらしく、「大阪の敵を知事選で」とばかりに徹底した鳥越氏攻撃。気に入らない相手を口汚く罵る手法が、この元政治家の「人格」をよく表している。

 美容・整形外科医として有名な高須氏も、姑息な言いまわしで鳥越氏を病人扱いしている。下は、高須氏のツイッターの一画面。鳥越氏が、認知症であるかのような言い回しだ。

高須.png

 橋下、高須両氏の発言は、小池氏の「病み上がり」に通底するもの。鳥越氏を病人に仕立て上げることで、支持低落を狙ったと見られてもおかしくあるまい。いずれも政策とは無縁の人格や体調に関する攻撃。文春同様の悪質な選挙妨害だろう。

 鳥越氏は憲法改正阻止、原発反対。一方、小池・橋下・高須の3氏は憲法改正論者で、原発容認。都知事選の告示直後、小池氏と鳥越氏がトップ争いをしているとの選挙情勢報道に接した右寄り陣営が、そろって禁じ手を繰り出した形となっている。文春が片棒を担いでるのは言うまでもない。



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