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豪華列車と減便に泣く一般客 問われるJR九州の企業倫理

2018年7月27日 09:20

20131016_os01.jpg JR九州が運行する豪華列車「ななつ星」の出発シーンを取材した。何人ものJR九州の職員が、笑顔で手を振って乗客の旅立ちを見送る。安くても数十万はするという旅行代金に見合ったお見送りなのだろう。
 豪華列車がもてはやされる一方で、同社はこの春に大幅減便を実施。多くの利用者が、これまで利用していた運行列車がなくなるという不自由を余儀なくされる事態となった。見送りどころか、“無人駅”も増えるばかり。金持ち優遇に走るJR九州は、公共交通機関としての自覚を欠いているのではないだろうか。

■もてはやされる「ななつ星」だが……
 「ななつ星」の出発駅は博多駅。ホームでは、JR九州の職員が乗客の写真を撮ったり、手を振って見送るなど精一杯のサービスに努めていた。一般庶民ではなかなか手の届かない旅行代金(数十万円台~百万円台)なのだから、当然のことなのだろう。

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 「ななつ星」は全国的に注目を集め、出発便の募集がある度、すぐ満席になるという。九州の宣伝に役立っているのは事実だし、「一度は乗ってみたい」という人が多いのも確かだ。だが、豪華列車の運行を支えているのは、日常の暮らしの中で、JRの列車を利用する一般客だろう。

■無人駅は増加の一途
 一方、下はJR鹿児島本線「薩摩松元駅」のホーム。ここは無人駅で、2015年に小学生の転落事故が起きていたことが分かっている(参照記事⇒《鹿児島・市立松元小 児童の安全対策放棄 ホーム転落事故 JR九州「初めて聞いた》。

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 薩摩松元駅から歩いてすぐのところには「鹿児島市立松元小学校」がある。教育施設のない市内松陽台町の子供たち数百人がJRの列車に乗って通学して来るのだが、児童の転落事故が起きた後も、JR九州は常勤の駅員を配置していない。

 こうした無人駅は、JR九州が運営する567駅のうち、296駅に上っている。無人駅を増やせば、人件費が浮く。JR九州にとっては、利用者の安全より「経営」が大事ということだ。

■減便に泣く沿線住民
 JR九州は、今年春のダイヤ改正で過去最大の減便を実施した。なくなった運行列車は、九州新幹線・在来線を合わせて実に117本。これまで乗っていた列車がなくなることで、多くの通勤・通学客が不便を強いられることになった。沿線自治体からの反発が相次いだのは言うまでもない。

 九州地方知事会は、大幅な減便を「遺憾」とする意見書をJR九州に提出。自治体の改善要求は94項目に達したが、同社は7月に実施したダイヤ改正でも削減した列車の復活は行わず、一部の運転時刻や車両数の変更でお茶を濁している。当然ながら減便対象区間の利用者は大幅に減少。JR九州は、自ら運営が困難な路線を作り出そうとしているとしか思えない。

 減便と無人駅の推移について下の表にまとめたが、公共交通機関としての同社の姿勢には疑問を抱かざるを得ない。

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 近年、JR九州が力を入れているのは、不動産開発事業と「ななつ星」に代表される観光列車の運行だ。反比例するように、ローカル線を切り捨て、減便や駅の無人化を進めてきた。利益のために、弱い立場の一般利用者を躊躇なく切り捨てている格好だ。鉄道は暮らしの足ではないのか?問われているのは、公共交通機関としてのJR九州の企業倫理である。



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