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久留米市政を牛耳る商工会議所 市長後継選びで会頭が主導

2017年9月11日 09:40

1-久留米商工会議所.jpg 来年1月に予定される福岡県久留米市の市長選挙を巡り、地元商工会議所の会頭、副会頭らが候補者擁立に介入。事態を複雑にしたことで、県政界に混乱を招く格好となっている。
 自民党に近い商工会議所の会頭らが担ごうとしているのは、元民進党の参議院議員。現職市長に引退を決断させ、後継指名させようと画策したことが分かっている。
 商工会議所の会頭は、自民党県連と対立している鳩山二郎衆院議員(福岡6区)の陣営幹部。副会頭が市長の後援会長であることから、「商工会議所が、久留米の政治を牛耳る形はおかしい」(久留米市の会社社長)などと厳しい批判が上がっている。

■キングメーカ―気取り
 現在の久留米市長は、2期目の楢原利則氏(69)。来年1月の市長選に向け動向が注目されていたところ、今年8月に西日本新聞が同氏の不出馬をスクープ。見出しに『久留米市長選 現職不出馬 大久保氏に要請』と打ったことで、楢原氏の引退と、同氏が後継に大久保勉元民進党参議院議員を指名した形となり、自民党関係者に波紋が広がっていた。

 一連の動きを主導したと見られているのは、久留米商工会議所の本村康人会頭。本村氏は、昨年10月に行われた衆議院福岡6区の補欠選挙で自民党県連と対立、公認争いを演じて初当選した鳩山二郎衆院議員の事実上の後援会長。県連の向こうを張って党本部に鳩山氏の公認を要請するなど、久留米市政界を裏で操る人物として注目を集める存在となっていた。

 市長の後援会長は、本村氏の影響下にある副会頭の橋本安彦氏。会頭・副会頭コンビで楢原引退→後継指名までの流れを作り、コントロール可能な市長を誕生させることで、久留米市での発言力強化を狙ったものと見られている。久留米市民のためではなく、一部権力者のための後継選び――。方向性を決めた会合も、うさん臭いものだったという。

 関係者の話によれば、先月中旬、楢原市長が呼ばれた会合に集まっていたのは本村・橋本両氏に加え鳩山二郎氏と大久保元参院議員。この席で楢原氏の引退が決まり、大久保氏への出馬要請が行われとされる。ただし、楢原市長本人は大久保氏を後継指名しなかったといい、楢原氏の「後援会」が推すという、異例の形になっている。この場で楢原氏が、“大久保後継”を決断するはずがないからだ。

 楢原氏の市長初当選は平成22年。2選を果たした前回の市長選まで、中心となって支えたのは自民党だ(26年の市長選は自民、民主、社民推薦)。一方、鳩山二郎氏は衆院補選で自民県連を敵に回してから和解しておらず、未だ衆院福岡6区の支部長にも就けない状況。大久保氏も、旧民主党時代から参院議員を2期務め、自民党と対峙してきた立場なのだ。自民党県連と良好な関係を保ってきた楢原市長としては、簡単に結論を出せる話ではない。しかし、この会合の直後に出た西日本新聞の記事は、まるで楢原市長が後継指名したかのような内容。出来上がった話のように新聞記者にリークしたのは、主導権を握ろうとした本村会頭だったとされる。

 キングメーカー気取りでマスコミや地元政界を操った形の本村氏だが、事は思惑通りに進みそうにない。鳩山氏も大久保氏も自民党県連にとっては仇敵。自民党県連が、大久保推薦をのむはずがない。衆議院の議席を持っているのは鳩山氏だが、久留米市の自民党支部は同氏と距離を置く2人の自民党県議が中心。支部推薦も難しい。民進党にしても、次期総選挙で鳩山氏に対抗する候補者の公認を決めており、市長選で鳩山陣営と呉越同舟というわけにはいかない。結局、大久保氏を後継市長に据えようとすれば、「鳩山後援会」で選挙を戦うしかない状況だ。他の有力候補を自民党が推した場合は、選挙結果がどう転ぶか分からず、引っ張り出された大久保氏も出馬を決断していいものかどうか悩むところだろう。

■強引な手法に厳しい批判
 なぜこうなったのか――。久留米市の選挙事情に詳しい関係者は次のように話す。
「衆議院の補選で(鳩山)二郎が大勝したことで、本村は調子に乗った。鳩山後援会の会長は地元有力企業の会長だったが、(故)邦夫代議士時代からの会長を辞めさせるわけにはいかなかっただけ。補選が済んだら、鳩山事務所側から『後援会長を降りて下さい』と申し入れている。二郎も本村も、人の道を外れているんだ。本村の本音は『自分こそが後援会長』。ただし、エミリー夫人は本村に難色を示している。本村としては、コントロール可能な人物を市長に据え、自分の立場を強固なものにする必要がある。久留米市民のためにでも久留米市のためでもない。自分のための候補者擁立なんだ」

 久留米市で鳩山邦夫氏を応援してきたという別の会社経営者も、本村氏の手法を厳しく批判する。
「本村会頭の動きは、私欲によるもの。自分の会頭としての立場を保つため、政治力が必要なだけですよ。彼は、会頭としては不適格。そもそも、会頭に居座ること自体おかしい。衆議院議員と市長を抱え、力で商工会議所を支配しようというのが本音。気に入らない楢原市長を引退させるところまではうまく運んだが、後継指名でつまづいた。現職市長の意向を無視して『後援会が後継指名』なんて聞いて事がない。商工会議所が、久留米の政治を牛耳る形はおかしい」

 商工会議所は、地域商工業者の振興を目的とする団体。特定の個人や政党、団体のために事業を行うことはできない。会頭の立場を利用した本村氏の政治への介入は、明らかに一線を越えたものであり、批判が出て当然だろう。それでも本村氏は政治に首を突っ込まざるを得ない。何故か――。次稿で、久留米商工会議所の歪んだ現状を詳報する。



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