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ヘイトスピーチ規制 ― 不足する議論

2013年10月28日 09:40

 今月17日、国会内で「ヘイトスピーチ研究会」が発足した。呼びかけ人は有田芳生参院議員。民主党の議員を中心に、14名が参加した。
 近年、東京の新大久保や大阪の鶴橋など、在日韓国・朝鮮人が多く住む地域で「ヘイトデモ」が行われている。デモ参加者が発するのは「韓国人は殺せ」など、いわゆるヘイトスピーチ(憎悪表現)といわれる常軌を逸した発言ばかり。7日には、大音量で京都の朝鮮学校に街宣活動を行った「在日特権を許さない市民の会」(在特会)側に、京都地裁が賠償金の支払いと街宣活動の禁止を命じている。
 同研究会はこうした差別行為を規制する法律の制定を目指しているという。その議論を聞いてみたが、正直、何かが足りないと感じた。

 研究会では最初に「ヘイトデモ」のビデオを上映、福岡や名古屋などで、過激な言動を繰り返すシーンが流された。鶴橋では在日韓国朝鮮人に向かって、「南京大虐殺ならぬ、鶴橋大虐殺を起こすぞ」と脅迫する女子学生の様子も映された。

 その後は講演。講師は在日朝鮮人人権セミナー事務局長も務める前田朗東京造形大教授だ。前田教授は人種差別撤廃法の制定を進めている。講演自体は、民族差別の撤廃を目指す内容だが、聞けば聞くほど、これは「在日韓国・朝鮮人優遇法」の立法ではないかと思ってしまった。何かが抜けている。

 ひとつは議論が在日韓国人・朝鮮人に対するヘイトスピーチのみに特化している点だ。しかも有田氏は、「第二次安倍政権発足以降、『殺せ』や『毒を飲め』など酷いのが増えた」と、あたかもヘイトデモが安倍晋三首相の責任であるかのような発言。だがそれは一面しか見ていない。右傾化の影響は認めるが、それだけではあるまい。

 確かにヘイトデモは醜い。日本の恥だ。が、ヘイトスピーチ研究会の議論では、日本で嫌韓感情が広がっている原因について、深い考察がなされていない。昨年8月に李明博大統領(当時)が竹島に上陸し、世界各国の地図から「日本海」の呼称を消そうと国家あげて取り組んでいることには目をつぶっている。今年発足した朴政権は、反日に徹しており、いまだ首脳会談すら実現していない。

 またアメリカでは慰安婦の碑や像の建設計画が進んでいる。このため、在米の日本人子女が危険な目にあうケースもあり、カリフォル二アでは我が子を守るために邦人女性たちが団結したという。こうした実情について、有田氏ら国会議員の多くは、何らかの対策を講じてきたのだろうか。

 研究会の中での質問に対し、有田氏は「韓国人の知り合いがいっぱいいる。その人たちが苛められるのが許せないというのが原点だ」と、動機があくまで個人的なものであることを吐露している。気持ちは分からぬでもないが、国政の場で議論するのなら、大所高所から物事を見るべきだろう。残念ながら、日韓の間に横たわる溝は深い。先の大戦で、日本が朝鮮半島を軍靴で踏みにじったのは事実だ。これは認めなければならない。その上で、韓国側の過剰な反応にもきちんと自制を求めなければならない。

 国会は立法府だ。そして国会議員は憲法により全国民の代表であると規定されている。果たして日本人を守ることを後回しにして、ヘイトスピーチだけを規制する方向性が正しいのかどうか・・・・・。よくよく議論すべきだろう。 

<天城慶>



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