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買春疑惑に揺れる「国境なき医師団」 “15歳現地妻”を捨てた野口健氏とのイベントを企画
人選に疑問の声

2018年8月29日 07:50

国境3.png 国境なき医師団(フランスのNPO/Médecins Sans Frontières =MSF)は1971年創立、紛争地や大規模災害の被災地で医療を提供することが主な目的で、医師や看護師などの医療従事者を中心に約4万5,000人のスタッフが70カ国で活動しているという(データは日本支部HPから)。
 日本支部HPによると、MSFの活動は医療支援だけにとどまらず、「活動地で目撃した虐殺や人権侵害などの現状を社会に訴える『証言活動』もMSFの使命」とある。「戦争こそ最大の人権侵害」の言葉通り、どんな状況にある人間でも適切な医療を受ける権利を守ることがMSFの理念であることをふまえれば、MSFの活動はまさに究極の人権擁護活動ともいえるだろう。そのMSFが揺れている。(右は国境なき医師団HPの画像の一部)

■創立以来のスキャンダルに揺れるMSF
 MSFは長年の人道援助活動が認められて1999年にノーベル平和賞を受賞しており、貧困国や紛争地帯で苦しむ弱者のために立ち上がった、絶対的「正義の味方」としての地位を確立していた。

 しかし今年6月、英国BBC放送がMSFスタッフの買春疑惑を報じたことで、世界中に衝撃を与えていた。医療スタッフではなく管理部門のスタッフだったとされるものの、アフリカのMSF活動国で宿舎に地元の女性を連れ込んで買春していた疑惑があるという。AFP通信は「エボラ出血熱の感染が広がったリベリアでも、地元女性に薬を渡す見返りに性的な行為が行われていた可能性がある」と伝えている。

■「15歳妻」を「父親からもらった」野口氏をイベントに招く
 創立以来といえるスキャンダルに揺れるMSFだが、MSF日本支部が企画したイベントの人選をめぐっても疑問の声があがっている。

 MSF日本支部は9月9日、「国際援助で輝く人材 野口健×国境なき医師団」と題したイベントを東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前)で開催する。野口健氏はアルピニスト(登山家)として知られているものの、近年の活動や言動は妙に政治色を帯びており、Twitterで「幸福実現党の政策はいつも明確。共感できる部分が多い」(2012年12月1日)などとツイートしたこともあった。幸福実現党は、宗教法人「幸福の科学」を母体とする政治団体。右寄りの主張で知られ、沖縄では極右勢力のバックに同団体の存在があると言われている。

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一時、自民党から出馬する噂もあった野口氏。
憲法9条改正や非核三原則撤廃を掲げる幸福実現党のどこに共感したというのだろうか

 野口氏はかつてネパールに登った際に、現地のシェルパ(登山サポート、山岳案内人)の15歳の娘と「結婚」したことを明らかにしている(「現代ビジネス」2017年8月13日掲載/対談:アルピニストとシェルパの娘との、世にも奇妙な「結婚生活」)。以下、該当部分を引用する。

 朝の水汲みは、当時15歳くらいの女の子の仕事で、甲斐甲斐しく働く様子にグッときて、山の上で、お父さんに『あなたの娘にホレちゃったかも』といったら、『そうか、じゃ、下りたら持っていけ』と。高地で意識がふわふわしている状態で、こっちは冗談のつもりでしたが、それが大問題で……

 15歳の子どもをつかまえて、「グッときた」――。“変態野郎”と罵倒されてもおかしくあるまい。父親が娘をモノ扱いすることに問題意識を持つ様子もなく、「冗談」で15歳の少女と下山した野口氏は首都カトマンズに妻を住まわせ、日本からの仕送りで面倒をみていたという。

 葉巻をくゆらせながら、野口氏を「男気あふれる行為」と持ち上げる対談相手(男の遊びを知り尽くした伝説の編集者、だそうだ……恥を知らないのだろうか)も最低だが、「(妻は)だんだんケバくなって、男ができたみたいなので」別れた、と悪びれずに語る野口氏はそれを上回る“ろくでなし”だと断言しておこう。

■野口氏イベント、再考求める声も
 つまり、MSFが活動地域での買春疑惑に揺れるなか、これまたアジア貧困国で15歳の少女を妻にした野口氏をイベントに招いて、「国際援助で輝く人材」について学ぶというのだ。企画した人物は正気なのだろうか。しかもイベントを行う場所が「東京ウィメンズプラザ」というのだから、なにかの冗談かと疑いたくもなる。

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MSF日本支部が企画しているイベント

 15歳少女と結婚した時の野口氏の年齢は明らかにしていないが、仮に登山家を名乗っていた時期ならスポンサー料が仕送りに流用された可能性がある。学生の頃であれば、元外交官だという父親に頼ったのかもしれない。どちらにせよ、なんとも良いご身分の登山貴族だ。ちなみに野口氏の「アルピニスト」としての実力に疑問符をつける登山家は多く、「シェルパなしでは登れない登山家」と揶揄されていることも付け加えておく。

 対談では終盤、「元妻の父親とは今も会っている」と、トラブルなく別れたことをアピール。「妻は仕送りしたお金で実業家になった」と、確認しようのない言い訳で自身の行為をさりげなく正当化している。

 野口氏は勘違いしているのではないか。問題はトラブルなく離婚したのか、さらに元妻がいま経済的に安定しているかどうかではない。娘をモノのように扱う父親の価値観を否定せず、娘の意思を確かめることもなく故郷から引き離し、経済格差をいいことに妾のような扱いをした、その植民地主義的行為の残忍性こそが問われているのだ。

 あまりにも少女の意思を無視した所業であり、さらにネパールという国自体を軽んじていることも明らかで、野口氏の精神性はとことん卑しい。そんな人物に、女性の社会的地位が最底辺に置かれていることの多い途上国や貧困国を支援することなどできるはずがない。いや、支援する資格がないと言うべきだろう。

 植民地主義的ロリコン男を講師に呼んだとなれば、MSFが活動の原資とする寄付金にも影響がでかねない。国境なき医師団の理念に共鳴して支援する人たちの中からは、野口氏を招いたイベントについて“再考すべき”という声があがっている。



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