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官庁不祥事にも大臣引責ゼロ ─ 卑怯者政権の実態 ─

2018年4月12日 08:10

gennpatu 1864410756.jpg 霞が関といえば国の役所が集まる場所。事務方の最上位にある官僚は「次官」である。しかし、読んで字のごとく「次官」はあくまでもナンバー2。それぞれの省庁のトップは「大臣」で、省内で大きな不祥事が起きた場合、大臣が責任をとるというのが歴代政権の常識だった。
 現状はどうだろう。昨年から今年にかけ次々と主要官庁による隠蔽やでっち上げが露見しているというのに、辞めた大臣は一人もいない。いずれも“原因究明”を理由に居座っており、無責任政治がまかり通る状態だ。
 もともとなかった政治への信頼が、これまで以上に失われつつある。

◆「引責」しない大臣たち 
 よくもまあ、次から次に役所の不祥事が続くものだ。昨年から今年にかけて、防衛省、文科省、厚生労働省、財務省と主要な官庁の役人による文書の隠蔽や虚偽答弁が明らかになった。官僚が何をやってきたのか下にまとめたが、歴代政権では起き得なかった事件ばかりである。

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 いずれも大臣の首が飛んで当然の事案。実際、役所の不祥事で大臣が責任をとらされた例は枚挙に暇がないが、安倍政権になって引責辞任した政治家は一人もいない。

 辞めたのは、甘利明元経済再生担当相や小渕優子元経産相のように“政治とカネ”にまつわる事件を起こすか、今村雅弘元復興相のように問題発言を咎められるといった“本人の不行跡”が問題になったケースだけ。日報問題の責任をとる形となった稲田朋美前防衛相の辞任にしても、役所不祥事の引責というのは建前で、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言したことが一番の原因だった。

◆腐った内閣に腐った大臣
 辞めない理由について、各大臣は口を揃えて「原因究明と組織の立て直し」と言う。稲田氏もそうだったし、麻生氏も同じ理屈で財務大臣を続けている。しかし、安倍の3重苦といわれる森友、加計、日報といった問題には、所管庁の大臣自身が関わっている可能性がある。

 悪徳警官や検察官が自らの犯罪を捜査し、立場の弱い第三者に罪を押し付けるのがテレビドラマの相場だが、安倍政権の閣僚たちがやっているのはこれと同じことだろう。腐った安倍政権には腐った大臣がよく似合う。

 国民の信頼を失わせる重大な不祥事が起きたというのに、誰も責任を取らない組織――。つまりは腐った政府機関ということになるが、そこには政治が保つべき威厳は、みじんも感じられない。

 憲法には《内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ》と定められており、『内閣法』も《内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う》と規定している。言うまでもなく、国会は選挙で選ばれた国民の代表が集う場所であり、そうした意味で内閣が責任を負うのは事実上「国民」に対してということになる。不祥事続きでありながら、閣僚が誰一人辞めようとしない安倍政権は、国会や国民に責任を負っていると言えるのか――。政権による一連の対応を見れば、答えが「NO」であることは明らかである。

◆元凶は安倍晋三
 先月25日に開かれた自民党の党大会で挨拶した安倍晋三首相は、冒頭、次のように述べた。

 大変ご心配をおかけしており申し訳ない。国民の行政に対する信頼を揺るがす事態となっており、行政の長として責任を痛感している。行政全般の最終的な責任は首相である私にある。改めて国民の皆さまに深くおわび申し上げる。なぜこのようなことが起こったのか徹底的に明らかにし、全容を解明する。その上で二度とこうしたことが起こらないように、組織を根本から立て直していき、その責任を必ず果たしていくことを約束する。

 たしかに、国の行政機関を代表するのは内閣総理大臣である安倍氏だ。「行政全般の最終的な責任は首相である私にある」というのは正しい。当然、「責任がある」と認識していれば、事が起きた時「責任をとる」はずだが、安倍首相は言い訳ばかりで「責任をとる」気配さえない。

 文書改ざん、隠蔽、でっち上げといった霞が関で起きているぞれぞれの“事件”は、いずれも安倍首相か安倍昭恵夫人を守るために官僚が起こした事件。だが国会質疑での首相は、終始“他人事”としての答弁しか行っていない。

 「全容解明」を理由に現職に居座るような為政者を、この国では“卑怯者”“恥知らず”と蔑んできた。「日本の伝統文化を守る」とか「美しい国」とかを声高に叫んできた男が、実はいちばん日本の美徳を理解していない。



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