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「2000万円問題」で問われる政治家への公費支出

2019年6月13日 09:35

ae5c744b009c5bfed1757198373d10896a2c08d2-thumb-230xauto-24801.jpg 「2000万円問題」で社会不安が増大するなか、与党の都合で予算委員会が開かれないというふざけた国会――。そこには、多額の税金で養われている国会議員が700人以上いる。 
 彼らをえらぶ選挙が行われる度、吹っ飛んでいく莫大な費用。内訳をみると、ポスターの掲示板、投・開票所の確保、アルバイトも含めた選管関係の人件費、広報費などの他、一般にはあまり知られていない「公費負担」に関する支出がある。

■参院比例 ― 候補1人に最大約700万円の公費負担
 国政選挙の公費負担が適用されるのは、衆議院小選挙区、参議院選挙区、参議院比例区のみ。衆院比例区は小選挙との重複立候補がある上、政党を選ぶ選挙であるため公費負担は適用されない。

 選挙用自動車の運用方法や、印刷物の枚数などで総額が変わるが、上限いっぱいだと衆議院の小選挙区で約330万円を、参議院の選挙区なら約400万円を、参院比例区では700万円近くの費用を国が負担することになる。全国の有権者を対象に選挙戦を展開するため、もっともカネがかかる参院比例区の公費負担内容をまとめた。

公費負担.png

 この他、新聞広告代(5回まで。上限なし)、選挙葉書郵送料などが公費で支払われるため、候補者一人あたりにかかる費用はさらに膨らむことになる。

 選挙が近づくと、こうした公費負担金を目当てに「選挙ブローカー」と呼ばれる人たちが現れる。選挙カーの調達や運転手・ウグイス嬢の手配、ポスターや看板、チラシ制作などを一手に引き受ける専門の業者がいて、高額な委託費を請求してくる場合もある。

 衆参同日選挙にでもなれば、ポスターや選挙ビラに使う“紙”が不足して価格が暴騰するし、ポスター掲示用の事務用品(ワッポンと呼ばれる接着テープ)なども市場から無くなるほどの状態となる。それを見越して、買い占めに走る業者もいるほどだ。

 既に選挙運動用自動車が不足したり、運転手やウグイス嬢が見つからないといった地域もあるという。想定されている公示日(7月4日)の一ヶ月前になっても参院選の日程が決まっていない上、ダブル選の可能性がゼロではないことから人の確保が難しくなっているという。

■問われる「費用対効果」
 総務省の報告などから推計すると、衆議院や参議院の選挙にかかる費用は公費負担金を含めて500~600億円。共産党を除く国政政党にはこの他、年間300億円以上の政党交付金が支給されている。さらに、下にまとめたように国会議員一人にかかる年間経費は、グリーン車乗り放題のJR特殊乗車券や議員会館、議員宿舎の維持管理費などを合わせ、一人当たり8,000万円前後。衆参の定数は713人(衆:465人 参:248人)となっているため、単純計算で約570億円以上の支出となる。今国会は、与党の都合で長期間「予算委員会」が開かれておらず、“費用対効果”に疑問符が付く状況だ。

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■「2,000万円」に泣く庶民
 そうした中、金融庁が「人生100年時代、2,000万円が不足」との報告書を出したことで、大騒ぎとなった。安倍首相が一期目で退陣に追い込まれたのは、「消えた年金問題」発覚で参院選敗北を喫したことが原因。官邸や与党が大慌てするのは、その時のトラウマがあるからに他ならない。

 首相が自民党幹事長を務めていた2004年の年金制度改革は、「100年安心」がうたい文句だった。今回の報告書は、政府が年金制度の破綻を認めたとも受け取れることから、野党は一斉に反発。国民民主党の玉木雄一郎代表は7日の党会合で「100年安心は崩れた」と主張し、立憲民主党の福山哲郎幹事長も同日の党参院議員総会で「いつから2,000万円ないと老後が迎えられなくなったのか。安倍晋三首相に予算委員会で国民の不安に答えてもらわないといけない」と発言している。「悪夢」を想起した与党議員が、うろたえだしたのは言うまでもない。ダブル選見送り論が、急速に強まった。

 庶民が2,000万円に泣く一方で、無能な政治家たちに多額の公費支出――。やっぱり、この国はどうかしている。



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