政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
政治

「政治とカネ」地方の実態 江口吉男福岡県議、関連企業から秘書給与(上)

2011年3月10日 07:30

政治資金規正法違反の疑い

 自民党の江口吉男福岡県議会議員(61、柳川市選出、当選6回)の秘書が、柳川市内の企業から給与の支払いを受けていたことが明らかとなった。秘書への給与は江口県議側への企業献金となるが、同県議の関連政治団体の収支報告書には献金の事実が記載されておらず、政治資金規正法に違反する疑いが浮上した。
 また、企業側の経営上の問題で秘書給与が支払えなくなった時期から、政務調査費と自民党支部の政治資金によって給与を折半して支払っていたことも判明。同県議の政調費の使い方にも疑問符がつく事態となった。
 さらに、同県議の政調費とのからみで、関連政治団体への同県議の寄附が記載されていないことも確認されており、県選管も現時点での違法状態を認めている。
 今月4日、取材に応えた江口県議の秘書は、給与に関する事実関係を認めているが、江口県議自身は9日現在、取材要請に応じていない。

献金企業の代表は県議の妻
 これまでの取材や江口県議の秘書によると、同秘書らの給料を支払っていたのは地場建設業者らを取引先にしている建設資材会社「有限会社オキハタ開発」。同社の代表取締役には、平成15年5月から江口県議の妻が就任している。登記簿上の住所は江口県議の自宅住所地だが、実質は同一敷地内にある同県議の後援会や同県議が代表を務める「自由民主党福岡県柳川市第一支部」および「自由民主党柳川支部」など3団体が主たる事務所を置く建物内に同居している。電話についても、同一番号を会社と政治団体で共用していることが確認された。ただし、事務所棟などの目立つところには、「有限会社オキハタ開発」の看板はどこにも掲げられていない。

登記簿

ペーパーカンパニー
 「オキハタ開発」について、柳川市のある建設業関係者は次のように話す。
 「江口県議の秘書が『オオキタ』の営業を行なってきた。秘書は『オオキタ』の営業をやっているつもりだろうが、県議の秘書であることは周知の事実。むしろ、普段は県議の秘書としての付き合い。地元県議は1人だ。断れないでしょ。石やレンガといったコンクリの2次製品などを、メーカー指定で売り込みをかけてくる。お次は、会費という名目での献金、パーティ券とくる。長年、よく付き合ってきたと思う」。
 別の業界関係者に「オキハタ開発」の事業形態がどのようなものなのか確認したところ、「いわゆるペーパー会社。製品を抱えているわけでもない。自分のところで製品を動かすことはなく、(製品は)メーカーから業者か現場に直行する仕組み。楽な商売だ。取引に介在するか、手数料を取るか、そういったところ」。
 会社所在地に、同社の看板がないのは、その必要がないからだともいう。

 江口県議の秘書は、会社側が秘書の給与を支払っていたのは平成21年5月までとしているが、長く江口議員の秘書を務めているため、「いつ頃からだったかは明確に覚えていない」という。現在、オキハタ開発の社員はいないと話している。
 江口県議が県議会に提出した資産等報告書を確認したが、「オキハタ開発」は関連会社とはなっていない。同社からは報酬を得ていないという解釈だろうが、政治活動の事務所や電話を共用し、秘書給与を支払わせていたとすれば、一般的には"関連会社"と見るべきで、改めて議員の資産公開の限界を露呈した形だ。

自民支部に献金記載なし
 江口県議の関連政治団体は、前述の「自由民主党福岡県柳川市第一支部」、「自由民主党柳川支部」、「江口吉男後援会」の3団体で、このうち企業献金を受けることが可能なのは自民支部の2団体だけである。
 2つの自民支部について、福岡県選挙管理委員会に提出された平成19年、同20年、同21年分の政治資金収支報告書を確認したが、「オキハタ開発」からの献金は記載されていない。
 江口県議側は、秘書給与を「オキハタ開発」から支出させたことで、企業献金を受けた形となる。しかし、県議側で企業献金の受け皿となり得る2つの自民支部の政治資金収支報告書には同社からの献金の記載がなく、この段階で、政治資金規正法上の"不記載"ということになる。

禁止された企業献金の可能性も
名刺 問題は、江口県議側が受けた企業献金が、政党支部に対するものとは言い難いところにある。県議側が問題の献金について"自民党支部への献金"という形で収支報告書を訂正したとしても、「オキハタ開発」から給料をもらっていた秘書の勤務実態は、江口県議の私設秘書だ。その事実を示すように、同秘書の名刺には「福岡県議会議員 江口吉男事務所 秘書」と明記されており、自民党の文字は皆無。自民支部で献金を受けたと解釈するには、無理があるものと考えられる。場合によっては、同法が禁止している"政党および政治資金団体以外への企業献金"となる可能性も否定できない。取材に対し、江口県議の秘書は「(会社からの)出向だった」と明快に答えており、福岡県選管によれば、出向先が江口県議個人だった場合は禁止された企業献金、政治団体だった場合は受けた献金の不記載となることを認めている。いずれにしろ、政治資金規正法に抵触する可能性は否定できない。

政務調査費での給与補填
 江口県議の政治資金については、収支報告の不透明さや政務調査費に関連する別の問題が存在している。
 取材した4日、同県議の秘書に、同県議が県議会に提出した政務調査費の領収書コピーに添付された"給与明細"を提示したところ、迷うことなく「これは私の給料だから」と明言した。提示した"給与明細"は、人件費を按分して、政務調査費と「自由民主党福岡県柳川市第一支部」が2分の1ずつ支出したことを証明するためのものである。これを見ると、秘書の給与月額は27万円と記されており、この金額は平成21年6月から年度末の3月分まで変わらない。政務調査費による秘書の人件費にかかる支出は、同年6月から翌年3月まで毎月13万5,000円で、合計135万円に及ぶ。会社から給与をもらっていたが、「経営状況の都合」(秘書の話)で政務調査費に頼ったということになる。これでは県議の政務調査補助ではなく、単なる秘書人件費の補填に過ぎない。政務調査費の本来の趣旨からは程遠く、江口県議の政治家としての資質が問われる。

明細書

(つづく)



【関連記事】
ワンショット
 47年前と変わらぬ雄々しい姿が、そこにあった。太陽の塔。...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲