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問われる原発の行方~崩れた「安全神話」

2011年3月14日 14:00

 未曾有の大惨事となった東日本大震災は、11日の発生から4日経った現在も被災地での懸命な救出活動が続いている。一人でも多くの命が救われることを願うばかりだ。地震やそれに伴う津波による被害が従来の想定を大きく超えるものになってしまったが、「想定外だった」では済まないことがある。原子力発電所の安全性だ。

後手に回る政府対応に不信感広がる
 福島県大熊町にある東京電力・福島第一原子力発電所の1号機が、地震の影響で炉心溶融を起こしたと見られ、12日には原子炉建屋が爆発で吹き飛んだ。東京電力や政府は、建屋内部で水素爆発を起こしたためで、炉心そのものは大丈夫だとしているが、爆発後に、周辺住民らが被曝していることが明らかとななった。また、14日午前11時頃には3号機が同様の爆発を起こすに至った。
 
 同原発を巡っての政府や東京電力の対応は、とても適切とは思えない。地震が発生した11日の緊急事態宣言後、政府の避難指示は「原発から半径3キロ圏内」。12日には「10キロ」となり、同日夕には建屋の爆発を受けて「20キロ」へと拡大した。しかし、20キロ圏内からの避難指示は、建屋の爆発から約3時間が経過しており、菅首相や枝野官房長官による福島原発に関する一連の経過公表までに、さらに2時間以上かかっている。
 3号機建屋の爆発については、早い段階から1号機と同じ状況であることが分かっていながら対応が遅れたばかりか、炉心内の状態を示すデータなどは、東電や政府から何も公表されていない。後手に回る対応と情報の少なさに不信が増幅する。政府の慎重姿勢は、パニックを回避するためだろうが、過ぎれば事実の隠ぺいを疑われることになる。また、放射能という目に見えない恐怖と向き合う被災者や現場の救援チームなどには、迅速かつ正確な原発情報が必要なはずだ。
 関係機関全体の取り組みについて、立て直しが求められる。

求められる「情報開示」と安全基準の見直し
 大地震が来ても大丈夫だという「安全神話」が崩れたことで、原発への風当たりが強まるのは必定だが、必要な電力の3割以上を原子力に頼っている現状では、すぐ代わりを用意することは不可能。すべての原発の稼動を止めることは現実的ではない。ただし、新規に計画されている施設も含めて、原発についての徹底した情報開示と安全基準の見直しが求められる。
 とくに、既存原発の耐震性見直しは急務だ。電力各社は、平成19年の新潟県中越沖地震以後、地震時の安全評価の基準となる「基準地震動」の策定を厳しくしたが、それでも福島原発では事故が起きた。「想定」の範囲を見直すことは、原発の信頼性を維持する上で必須条件になったと言える。

九州の原子力発電所
 実験プラントである高速増殖炉「もんじゅ」を含めて、国内で稼動中の原発は北海道から鹿児島まで18カ所玄海原子力発電所(このほか青森県で大間原発を建設中のほか、山口県の上関原発など2施設が計画中)あるが、原発の事故は枚挙に暇がなく、九州も例外ではない。
 昨年1月、薩摩川内市の九州電力・川内原子力発電所で、作業員1人が死亡し、6人が重軽傷を負う事故が発生した。分電盤の点検中に、通電している端子に誤接触したために起こったとされるが、原発内の事故は、一歩間違えば大惨事につながる。同原発では、3号機設置の計画が進行しており、鹿児島県や薩摩川内市は、根強い反対論を黙殺して計画へのゴーサインを出している。
 九州ではこの他、佐賀県唐津市にプルサーマル計画を実施中の九電・玄海原子力発電所が存在するが、ふたつの原発の安全基準や情報開示については、早急な見直しが必要だ。



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